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朏の断片‐ミカヅキ ノ ダンペン‐
第5章 #4


言われて気付く。グラグラと視界がさまよい安定しない。


「っ……さっきから、やけに汗かく思ぅたら……!」

「ベッドで寝ろ。何か頭冷やすやつないのか」


片桐を押し退けて立ち上がろうとした上田の腕を掴んだ。


「熱下げるにはエッチすんのが一番やな」

「いや、聞いたことないけど」


素で戸惑う上田にもたれ掛かる。熱のせいでだいぶ辛そうだった。


「大丈夫か?俺のせいで無理させたんじゃ……」


心配そうに見ている上田に、片桐は目を細める。


「ええから俺のこと好きって言えや」


荒く熱い息が何度も首もとに繰り返され上田は片桐の背中を撫でた。


「……嫌いじゃないよ……?でも好きとかよくわかんないし、何で好かれてるかもよくわかんないし。人間としてなら好きで一緒にいたいって言えるけど。アンタの言ってるのとは、違うんでしょ?」

「めんどくさいねん。好きなら好きでええやんか」


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