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第1章 ふにん

僕の名は、ユウジ。
この春、高校を卒業し、新設の国立マッチ＆マリッジ中学校に新任教師として、赴任した。

＜マッチ＆マリッジ中学校＞…
それは、今や人類発展の最大阻害要因となった少子化問題を喫緊に解決するために新設された、国家肝いりの特別教育機関である。
この学校のコンセプトは、＜出会い、そして結婚する＞。
国家が注目したのは、近年、世にはびこる害悪となってきた＜女子中学生を性の対象にする症候群＞である。中学校の教師になろうとする男子の実に９８％以上が、＜女子中学生に性的興味を持っている＞を志望動機にしていることが判明していた。ここ数年、男子教師と女子中学生の間の性のトラブルが多数発生し、ある学校では新任男子教師全員が逮捕され学校からいなくなるという事件まで発生していた。
国家の教育長が頭を抱えていたこの問題に解決の糸口を与えたのは、保健大臣の一言だった。
「いっそ、先生たちと女子中学生たちを結婚させれば」

「それは、いい！」
時の総理大臣が、食いついた。
なるほど、一理ある。性欲旺盛な男子教師の優秀な精子がムダにならずに済み、女子中学生との性トラブルも解決され、一石二鳥である。男子側に一定の収入があることも、受精卵を放棄（堕胎）するムダや、堕胎手術が原因の不妊を少なくすることができる。
さっそく法案が提出され、賛成多数で可決。
そして、４月１日、制度がスタートした。

最初、大学卒業をマッチ＆マリッジ教師の資格としたが、女子中学生との年齢差を考慮し高校卒業に緩和した。授業内容が、ほぼ１００％、エッチ行為だったからでもある。
英語や数学など教科の指導は、各教科担任教師の責任となる。