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Gemini
第6章 知らなかったこと
「ごちそうさま」

ルカは両手を合わせてそう言うと、うーんと伸びをした。そしてそのまま、ソファに座ってる私の太ももの上に頭を乗せてきた。

ふわっと柔らかい髪から、いい香りが漂う。でも角度的に、顔の表情までは見えない。

「なぁカナデ?」
「な、何?」
「今日泊まってっていい?」
「えっ…泊まるって、えっ?」
「世の中物騒だろ?ほら」

いつの間にかテレビではニュースをやっていて、一人暮らしの女子大生が被害者として映し出されていた。

「大丈夫だよ。ここのマンション、セキュリティちゃんとしてるし」
「そういう奴が一番油断してるんだよ」

ルカは体の向きを変えると、あろうことか私の膝にキスをした。

「ちょっ、なっ」
「大丈夫…」

チュッ…チュッ…と顔の角度を変えながら、何度も膝にキスをされる。

(そんなところに…キスなんて…)
そう思っていても、なぜだかドキドキして動くことができなかった。

私が抵抗しないからか、ルカは私が履いていたハーフパンツの裾を少し捲って膝の上にまで上がってきた。

(どうしてそんなとこに…なんで…唇じゃないんだろう…)

背中がムズムズするような感覚。それなのに頭はフワフワして、心臓は大きな音で鼓動している…

カリッ…
ルカの舌が触れた瞬間、私の指が勝手にソファを引っ掻いた。

ルカは私の手を包み込むと、優しく手の甲を撫で始める。 私がその動きに見とれている隙に、唇は反対の膝に触れ始めた。

「ルカ…私……」
「大丈夫。怖がるようなことはしない。」

断言するかのように言い切ったルカは、私の手を取ってその甲にキスをした。そのまま手を取られ、自然と恋人繋ぎになった。

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