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第6章 知らなかったこと

ルカの唇は少しずつ内側に移動してきた。

キスの位置が変わるとき、ルカの舌が私の足を伝っていく。その度に息が止まってしまうこと、ルカにはバレてるのかな。
いつしか、ルカの指と絡まっている私の指先は、力が入りっぱなしになっていた。

「ね…ちょっと…そんなとこ…」

「……」
ルカは黙ったまま、チュッ…チュッ…と音を立てて、空白を無くすかのようにキスをし続けている。くっついていたはずの左右の膝は、いつの間にかルカの顔が挟まるほどの隙間が開いてしまっていた。

繋がっている手が動いた。ルカの親指がハーフパンツを更に捲りあげようとしているからだ。

「ルカ…」
ルカの頭を見下ろしていると、舌が舐めた筋が光って見えた。

「ねぇ……ルカってば…」

「なんだよ…」
ルカがやっと反応してくれた。でも、顔も上げずに言葉だけ。

「も…やめて…」
「嫌だよ」
「こんなの変だよ」
「………」
内ももにチクンと痛みがあった。

「カナデ、見て…」
やっと顔を上げたと思ったら、私の太ももにつけた赤い跡を誇らしげに見せてきた。

「やっ……」
その跡をなぞるように舌で舐めているルカを、私は見ていられなくなる。


「反対も」
ルカはパンツが見えそうになるギリギリまでハーフパンツの裾を捲って、顔を押し付けるようにしてまた跡をつけた。

茶色がかった髪が邪魔して見ることはできないけど、ルカが舌で自分がつけたキスマークを舐めていることは分かった。パンツのすぐ横を舐められている気がして、いてもたってもいられない気持ちだった。

「もう…やめて…」
「本当にやめて欲しい？」
「え…？どういうこと？」

「もっとして欲しそうな匂いがしてる」
ルカの高い鼻が、いけない場所に触れた。