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第12章 花の命・・・

『あの・・・待ってください』




『・・・今は、今やるべき事があります

無駄な事をしている時間が患者の為になると

君は思いますか？』





『・・・っ』



淡々とした感情のない声と言葉に

オレは…ムッとして言葉につまる




ハッタリかまして、生意気言った事は
謝ろうかと思ったんだけど




『患者や…その家族って

怖くて、不安で…仕方ないんじゃ

ないんですか・・・』





『・・・』





『医者……先生だけが、頼りなのに

そういう…言い方って言うか

∥わからない事∥を聞きたいのは

当たり前って言うか…』






小さく…抵抗した





『・・・度胸だけは一人前だな』






『・・・は…？』





『【大丈夫】【絶対】【頑張れ】

そんな言葉だけで患者が助かるのか？

殊更(ことさら)に正義感だけかざせば

患者は助かるのか？』






『・・・ぁ、、、の』







『患者に…本当に必要なこと…その判断』






『・・・』




言い様のない威圧感にオレ
まばたき…してなかったかもしれない






『君も…これからなるんだろう？』






『ぇ・・・』





『なってみたら・・・

医者になれば、君にもわかるだろう』





『・・・～…』


何も言い返せないオレに見切りをつけて
医者はさっさと出て行こうとする




『あ・・・先生…あの・・・カンナ』


『・・・』




『オレの気のせい…かも知れないけど

カンナ・・・アイツ、最近

∥何度も同じ事言ったり∥…って言うか

ついちょっと前の事…忘れたとか言うんです

・・・つい、さっきも』





『・・・』





『偶然かも…知れないんですけど…』






『・・・そうか。わかった』




バタン…



聞く耳を持たないかに見えた医者が
一瞬…少し考え込むようにして
一言そう言うと、足早に去っていった









『・・・・・』





猛烈に悔しくて

猛烈に…やるせなかった




オレはまた…カンナに
なにもしてやれない


オレは…無力なままだった