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Best name ~ ひまわりとの約束 ~
第13章 遺された・・・意味
お母さんは…オレの返事に

優しくほほえむと

持って来たお茶をすすめてくれた




『・・・いただきます』



カチャ……



ふんわりと…湯気をたてて

ほろ苦い良い香りのするコーヒー




カップを口元に近づけた時




……ドクンっ




∥え・・・?∥





無意識に、オレの手が

一瞬、ブルッと震えて

中身が僅かに床にこぼれた





『ぁ……っ』


『?!・・・大丈夫?

熱かった?…かかってない?!』



お母さんが慌てて拭いてくれる




『・・・す、すみません』




熱かったのでも

手が滑ったのでも

なんでもない




煎れたての…ほろ苦い

コーヒーの良い香り


・・・の、はずなのに




その香りは…一瞬

オレの脳裏に

ある悲惨な記憶を

どうやらよみがえらせたらしい




カンナが…血を噴いて倒れた

あの日の光景



奇しくも、それは

同じ…カンナのこの部屋だった




真っ赤な血…そこに混じって

漂う…ほろ苦い香り





まったく意識もしていないのに




【トラウマ】とかってやつか?







『・・・フゥ』


オレは苦笑いして少しため息をつき

カンナのお母さんに悟られないように

一口だけ…口をつけたフリをして

そっと、カップを置いた





本当に・・・情けないな・・・オレは。
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