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Best name ~ ひまわりとの約束 ~
第15章 神様のイジワル
そして・・・そのまた次の春を迎える頃には





『そんじゃ・・・行くわ』




大学を卒業したリョウキは

就職して、そのまま

実家を出ていってしまった。



『別に遠くじゃないのに

わざわざ引っ越すことないじゃない~』


ぶっきらぼうに…その心配を隠して
こぼしている母さんを横に


リョウキの言うことには

たまたま社員寮を使わせてもらえるから

なんて話だけど




実際…その胸中には

どんな気持ちがあったのだろう


本当の所は

弟にしかわからない




リョウキの言うように

大学も出て、いずれは親元だって

はなれるのが自然


それもそうだろうけど







家に…居たくなかったのだろうか



何か…負い目のようなものがあったのか




オレたち家族が

そんな空気を作ってしまったのだろうか



右も左もわからない世界に

これから入って行くのに加えて

自立するのなんて…要らぬ苦労をするようで

ナンセンスだな、なんて思う気持ちもある





本当の所はわからない




アイツは…なにひとつ


愚痴も文句も…なにも

言ってはくれなかったから





アイツは…なんの不満も

弱音も…一言も

オレたち家族にこぼすことなく



そのすべてを背負ったまま

家族からはなれて行ってしまった




『・・・母さん(笑)♪

別に、遠くに行くんでもないんだし?』




見送る母さんは涙をすすっていて

オレはなんとなく慰めていた




『グスッ・・・ちがうわよ

ふふ…いいのよ、あの子の人生だから

それに子どもが親元をはなれてくのは

自然なことだから・・・』




『・・・(笑)』





『・・・どこで、何してても良いのよ

元気でいてくれさえすれば・・・』
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