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Best name ~ ひまわりとの約束 ~
第15章 神様のイジワル
なんで…涙が出てるんだろうな


仕事なのにね


わかってるのにね





『・・・っ…っう・・・っ』




誰かの命が消える瞬間に立ち会う




この仕事に就いて

それを避けて通れる人はいない






誰かが死んで悲しいのは当たり前。



人の死を

何とも思わない人間なんて

多分いない



例えそれがベテランの医者であっても。





『滝川~・・・』



非常階段に逃げたオレの肩を叩く

浅田先生の声がした




『すんません・・・っ…っ…ぅっ

こんなんだからダメなんですよね…オレ』




『~例え末期の患者でも

助けたいと思うのは…当然の事でしょ♪』




浅田先生の声は

いつものトーンでありながら

どこか寂しげだった




『・・・すんません…っ』




『~慣れろ、なんて酷な事だけどね…♪

こればかりは…慣れるしかないんだな

そこは…∥入れ込むな∥ってこと』






慣れるしかないことなんだ

わかっていても







それでも、さ



年齢もいってる上に

末期で…もう余命がいかほども

なかったかもしれないけど



或いはボケちゃってて

言われてる事も…自分の言ってる事も

ほとんどわかってなかったかも

知れないけどさ





それでも・・・それでもさ




もう一度だけ…家族に

孫に…会わせてやりたかった




身内でも知り合いでもなければ

余命いくらかもない

年取ったばぁちゃんかもしれないけど






「先生」・・・って





オレを…オレなんかを

まともに「先生」って


初めて呼んでくれた



患者さんだったからさ
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