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それでも僕は
第14章 14★
「ケイ!!」
「……ゆう」
5月の中旬…高校を終え、授業の予習をしている俺の元に凶報が舞い込んで来た。
『……母さんが亡くなった』
ケイからの電話に浮かれながら出るとケイは今にも泣きそうな声で、佳代さんに起きたことを教えてくれた。俺はあまりに凄惨な内容に言葉を失った。ケイにどこにいるか聞いて俺は飛び出すようにマンションを出た。俺はタクシーを拾って佳代さんが運ばれた病院に向かった。
「ケイ…佳代さんは」
ケイに寄り添っていた看護士が首を横に振った。俺は佳代さんがもうこの世を去ったことを知り絶句していまう。重い病気を患っている我が子を残して亡くなってしまった佳代さん、たったひとりの身内を亡くし、天涯孤独になってしまったケイ…ふたりを思うと胸が張り裂けそうになる。看護士去って、代わりに俺がケイを抱き締める。
「…うっ!!」
どうケイに声をかけて良いのか分からずケイを抱き締めいるとケイが突如胸を抑えうずくまる、ケイの異変を察知した俺はナースコールを押す、看護士が慌てて駆け付けてくれた。
「ケイ…」
医者と看護士の迅速な処置のおかげでケイは命を取り留めることができた。ケイは発作を起こしてから3日間眠ったままで目を覚まさない。俺は学校を休んでケイのそばにいた。ケイが一体何をしたんだと叫び散らしたくなるほど悪い状況に俺は嘆息する。ケイを守ろう、支えようと誓っていたのに肝心な時に俺は役立たずだ。
「…ゆう?」
「ケイ…良かった」
やっと目を覚ましたケイに俺は心から安堵した。ケイは虚ろな目で俺を見る、俺はまだ佳代さんのことでショックを受けているケイを抱き締める。ケイは驚いたように目を瞠った…そしてケイは俺の胸に顔を埋めて泣き出した。俺は泣き出したケイを慰める。
「ケイ…昼ご飯もらって来たよ」
ケイは無言で俺のほうを向いた。ぼーっとしたままのケイに俺は蓮華でお粥を掬って口元に近付ける。ケイはゆっくりと口を開け、お粥を食べる。元々、ケイの口は小鳥のように小さく少食なため、ショックを受けて落ち込んでいる現在、ご飯を食べる速度はかなり遅く、1時間以上かかることも多い。