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それでも僕は
第14章 14★
「ほら、水飲んで……また口移しで飲まされたくないならな」
そう脅しながらミネラルウォーターを俺に渡す佐久間…俺は無言でミネラルウォーターを受け取って飲んだ。
「……………あまりジロジロ見るなよ」
「……………だってこんな色っぽくてキレイな身体が近くにあったら見てしまうだろ?」
腰に短いタオル巻いただけの俺を喰い入るように見ている佐久間に俺は身の危険を感じ、身体を隠そうとタオルケットに手を伸ばすが届かない。
「…ほらよ」
「あ、ありがとう…」
佐久間はタオルケットを取って俺に渡す、俺はタオルケットで身体を隠す。
「うーん、囚われのお姫様って感じで良いよな」
「……お礼言わなければ良かった」
佐久間の残念な言動に俺はガックリうなだれる。黙っていれば絶句するほど格好良いくせに、言動が残念なせいで三枚目臭がする……それが俺から見た佐久間 高人の印象だった。
「……落ち着いたらマンションまで送って行くよ」
「分かった…」
正直、少し独りになりたかったがこんな状況では確かに家まで帰るのは難しい。俺は佐久間の提案に乗ることにした。数十分経ってようやく俺が動けるようになった。俺は佐久間の車で家まで送ってもらう。
「じゃあまたな」
「あぁ…」
俺はマンションの前で佐久間と別れる。未だに動くたびに痛みが走る腰を引きずって自分の部屋に戻った俺はベッドに飛び込んだ。独りになると俺はケイ以外の人間に抱かれたんだという実感が沸く。
(クソッ…!!)
ケイを裏切っていることに対してものすごい罪悪感が込み上げてくる。俺はまくらに顔を埋め、涙を流す、こうでもしないとケイを守れない自分の無力さが憎い。
(ケイに…嫌われても…良い…ケイが俺を嫌いになってしまっても生きていてくれたらそれだけで…俺は…)
「ふあ…ねむ…」
学校休んで丸一日休息に当てた俺は佐久間との待ち合わせ場所に向かった。
「高人く~ん、次はいつ会える?」
化粧の濃い女性と派手なスーツを着ている佐久間が何かを話している。俺はそれを物陰に隠れながら伺う。女性に甘ったるい言葉をかける佐久間に俺は思わず顔を引き攣らせる。佐久間はタクシーに女性を乗せると俺の元に一直線にやって来た。