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それでも僕は
第1章 1★
「今回も良かったよ、料金は払って置くからゆっくりして行きなさい」
男は金を置いて部屋を出て行った。俺は息を整え起き上がる。下手なくせにしつこく2度も延長したせいでかなり体力は消耗したがその分料金はずんでくれた。俺は後始末をすると特に休むことなくホテルを出た。
「まだ足りない」
セックスのことではない、身体を売って得た金は全部貯金している。アイツを救うためにどうしても金が必要だ、アイツを救えるのであればこの身体がどうなろうと構わない。幸い客には困ってない、この調子なら来年の春までには貯まるだろう。
「……物好きな奴ばっかだな」
さっきの男と会った路地に戻ると男娼を探しているオッサンが俺に好奇の目を向けてくる。182cmと高めの身長に中学のころバスケをやっていたせいで鍛えられた身体…かろうじて顔が中性的と言うだけでなんとか客を切らさないで済んでいる。
「やあ…黒崎?」
足が短い男が俺に声をかけて来た、俺はこの後、この男を含め3人の男を相手した。
「んッ…」
明け方まで身体を売り続け、家に着いたのはすっかり日が登ってからだった。家に着いてすぐに俺はシャワーを浴びてベッドにダイブして深い眠りに着いた。中学のころにバスケで鍛えたこともあって体力には自信があったので毎日たくさんの男を相手している。それでも平日の疲れが残っていたのか俺が目を覚ましたのは昼過ぎだった。
朝から何も食べてないせいか空腹を感じる…俺はハムと目玉焼きとトーストを食べて着替え出掛ける準備をする。
「……行くか」
俺はため息を吐いて家を出た。平日は学校と『仕事』のせいでアイツのお見舞いに行けない分…土日のいずれかにお見舞いを欠かさないようにしている。
外は相変わらずの青空だったが俺の気分は憂鬱だった……もちろんアイツ会えるには嬉しい…けど俺はアイツを裏切っている…アイツの知らないところで男に身体を許している。その事実が俺を苛む。
(しっかりしろ!!俺!!)
例えどんなに穢れていても俺しかアイツを支えてやれる人間はいないんだ…俺は自分にそう言い聞かせ奮い立たせる。アイツには俺しかいない。そして俺にはアイツだけで良い…例えアイツが俺を必要としなくなる日が来たとしても俺にはアイツだけで良い。