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籠の中の天使
第11章 散る花
「こっち、こっちー!」
待ち合わせの駅前で上地さんと並んで立ってた杉山さんがブンブンと腕を振る。
「子供が居る。恥ずかしいからスルーしちゃおうか?」
私と別の駅で待ち合わせてから杉山さん達との待ち合わせに来た向井さんが言う。
「杉山さん達に悪いよ。」
苦笑いをして向井さんに言えば
「いいの、いいの。瑠奈も優希も甘やかすと調子に乗るタイプの女子だから、ウザい時はウザいって突き放すくらいが丁度いい付き合い方だと思うよ。」
と大人の顔で答えて来る。
南斗も私がウザいのかな…。
あれからは普通に南斗と暮らしてる。
バレー部の合宿が終わったら、しばらくは休めるって言ってた。
合宿が終わるまでの我慢だと思う事にする。
その為に私は杉山さん達と花火大会に来た。
私が誰かと出掛けたりすれば南斗が喜んでくれる。
そんな理由だけで来た花火大会…。
向井さんが居るから安心だと思う。
「ちょっ!スルーとかやめて…、マジに傷つく。」
杉山さんが向井さんの腕に絡み付く。
「暑いっ!ウザいっ!」
露骨に嫌な顔で向井さんが杉山さんを突き放す。
「仲が良いね。」
ちょっと羨ましいと思う。
「理実と瑠奈?中学からだから付き合いが長いもんね。私は高校からだから、やり過ぎたら理実に怒られるよ。」
上地さんが肩を竦める。
長い付き合いだから、突き放されても平気なの?
南斗が私を突き放すのは長い付き合いだから?
人との距離の取り方がわからない。
「咲都っ!理実が冷たいから私と行こう。」
向井さんに突き放された杉山さんが私の手を握って来る。