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籠の中の天使
第11章 散る花
杉山さんに手を引かれながら目的の場所へ向かう。
「場所取り、大丈夫?」
上地さんが不安そうな表情をする。
今夜は花火大会…。
海に打ち上げられる花火を見る為に海岸線は人で溢れ返ってる。
「茂に場所取りさせてる。それよりも咲都は大丈夫?気持ち悪くなったらすぐに言いなよ。」
向井さんは私を庇うようにして歩いてくれる。
「大丈夫…、頑張るよ。」
心配を掛けたくなくて、そう答える。
「何言ってんの?無理に頑張らなくていいの。辛い時は辛いって言う。それが友達ってやつだからね。」
北斗さんのように向井さんは優しく叱る。
大人な向井さんにますます憧れる。
出来るだけ人混みを避けて4人で砂浜の方へ向かう。
「峯岸が居る…。」
嬉しそうに上地さんが言う。
場所取りは茂君と峯岸君が引き受けたらしい。
茂君も向井さんを見つけるなり、ブンブンと腕を振る。
「あの馬鹿…、殺す…。」
向井さんがそう呟くから思わず笑っちゃう。
「あの馬鹿男達も甘やかす必要が無いからね。」
「それじゃ、茂君が可哀想だよ。」
「可哀想なくらいでいいの。峯岸なんかモッチーの公認だとか言って咲都子に対して調子に乗ってるから。」
改めて言われると、迂闊に峯岸君に近付くのは止めようと思う。
ちゃんと峯岸君には付き合うつもりが無い事を伝えたい。
私の気持ちは決まってるから…。
南斗以外の人と付き合うつもりは無い。
可愛い猫キャラクターのレジャーシートが敷かれた砂浜で茂君と峯岸君が私達を呼んでる。
「このレジャーシート…、誰の趣味?」
上地さんが聞くと
「100均でこれしかなかった…。」
と茂君が凹む。