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籠の中の天使
第8章 楽しかった?



「大丈夫?」


早月先生が私の顔を覗き込む。

今は昼食…。

学校が用意したジンギスカンでバーベキューという食事…。

五稜郭ではお花見の時期しかバーベキューが出来ないからとバスで移動して違う公園に来てる。


「お肉が足んなーいっ!」


そう叫ぶ学生に


「もっと野菜を食えっ!」


と先生達が言い返す。

一応、追加のお肉があるらしいけど学生の胃袋は底無しだからと先生達は必死に量を加減してる。

私みたいに食べ損ねそうな学生の分を早月先生や千紗先生が配り歩いて調節する。

早月先生から差し出されたお皿を受け取り


「大丈夫です。」


と答える。


「疲れたら、すぐに言ってね。」


と早月先生は言うけど、次のお皿を持って忙しなく動き回る早月先生に疲れたとは言えない。

昼食が終われば、またバスで移動して神社や教会、植物園などを見て回る観光が待ってる。

地に足が着かない気持ちのまま、流されるように私はその観光スケジュールをこなし続ける。

やっと観光が終わりホテルに帰るバスの中では


「ねえ、ちょっと…、相原さんっ!?」


そんな千紗先生の叫び声がする。

身体中が熱くて声が出ない。

頭の中で誰かが笑ってる。


『お前は滅びるだけの旧い人間だ。』


その声に言い返せずに耳を塞ぎ目を閉じる。

目を閉ざしてるのに、あの日の男の子達のようにニヤニヤといやらしい笑いを浮かべながら私を取り囲む人が見える。


『あんな街の子なんか居なくなればいいのに…。』

『あんな街、滅びて当たり前なんだよ。』


それは岡村さんや峯岸君の声…。

色々な人が私を取り囲み、私に消えろと言い続ける。

やだ…。

やだ…。

怖くて声すら出ない。


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