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籠の中の天使
第8章 楽しかった?
もう嫌だ…。
このまま消えてしまいたい。
そう思った瞬間に誰かが私の手を握る。
「南斗…?」
目を覚ますとホテルの部屋だった。
「よく頑張ったな。」
南斗が笑顔で言う。
「熱が出たの…、無理をさせたみたいね。ごめんなさい。」
早月先生も居て私に頭を下げて来る。
「熱?」
そう聞けば南斗が辛そうな表情をする。
「札幌の時から微熱があるとは思ってたんだ。相原はずっと赤い顔をしてたからね。せっかくの修学旅行だし、相原だけを帰すのはどうかと思ってたから油断してた。本当にごめんな。」
保健医として私の症状を説明してくれる。
だから札幌での夜にアイスを買ってくれたんだ。
少しでも私を修学旅行に参加させようとしていた南斗…。
南斗の為に頑張ろうと無理をした私は身体がついて行かずに熱が出てしまった。
「食事は出来そう?ここに持って来るからね。」
早月先生が私の部屋から出て行く。
「南斗…。」
やっとまともに見れた南斗…。
ホッとする気持ちと同時に一気に倦怠感が襲って来る。
「咲都子だけ…、早めに帰るか?」
南斗が聞いて来る。
「帰れるの?」
「早月先生も流石に疲れてるからな。本来なら午後の飛行機だけど咲都子と早月先生だけなら朝の飛行機で帰れる。空港には北斗が迎えに来てくれるって言ってるし…。」
南斗の指先が私の指先に触れる。
久しぶりに感じる南斗の温もりは私に熱があるから少し冷たく感じて寂しくなる。
「先に帰る…、でも南斗の部屋で待っててもいい?」
明日はお休み…。
「学校で報告とかあるから俺が帰るのは、すげー遅くなるぞ。」
学生は空港で解散するけど教員は学校で報告してからしか帰れないのだと南斗が嘆く。