この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
恍惚なる治療[改訂版]
第16章 仄暗い空間の中で
今回また弁当を作るのは芸が無いな…
それに1ヶ月料理してないから、腕も落ちてるだろうし…
お礼するなら飯かな…
高い寿司屋に行って、それから…
思案しながら家にマンションに到着すると、ポストに長細いチケットが挟まっていた。
差出人は映画の配給会社からで、中身を確認すると、映画のペアチケットが入っていた。
「この映画、この前の…」
それは怪我をする前、公開前の映画の試写会に呼ばれ映画雑誌にコメントを掲載した海外の探偵物の映画で、かなり面白かった記憶がある。
「あの映画、公開したのか」
チケットを眺めながら、俺は柳川さんの事を思った。
映画だと安っぽいかな…
いや、映画の前に美味い物を食べて、それから映画を観に行くんだ…
「これも喜んでくれるかな…」
柳川さんがどんな表情をするか、どんな発言をするのか、考えるだけで気持ちが浮き上がったり、沈んだりする…
こういう感情が忙しい変化するのも悪くない…