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恍惚なる治療[改訂版]
第16章 仄暗い空間の中で

ホクホク顔でマイバッグに丁寧に梱包されたカップを入れた。
俺も手の平サイズのインテリアの本棚を購入し、店を後にした。

シネマに入り、手洗いを済ませてるとさっと劇場に向かう。

「何か食べ物買いますか?」
「いえ、後で美味しい物を食べるので、お腹は満たさないでおきます」

柳川さんはブランケットを借り、席に座ると俺に掛けてくれた。

「俺の為ですか?ありがとうございます」
「いえ、少し冷えるので」

まだ始まるまで時間があり、明るい場内で人数を確認する。
人も疎らで隣には柳川さん以外誰も来なさそう…これなら映画に集中出来そうだ…

「佐伯さんは映画館で観るタイプですか?」
「いえ、普段はDVDを借りて楽しんでます。余り人が多いと、映画に集中出来ないんで…特に隣が女性だと…」
「でも今日は来たんだ…」
「ミステリー物や気になる映画なら、夕方の時間やレイトショーで鑑賞しますよ。でも、海外の映画は手を出せないかな。ほら、いきなりセックスシーンとか入るじゃないですか…」
「あはは、分かります。いい雰囲気になると始めますよね」



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