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あの時、あのBARで
第3章  再会という名のBAR

 瞳と伊知子は今夜もいつものようになじみのBARへと足を運ぶ。
変わった名前のそのBARとの付き合いも二年の月日が過ぎた。
 ドアを開けると、カウンター越しにマスター・潤平の笑顔が見える。と同時に、
常連客の中年オヤジたっちゃんのすました横顔も目に入った。
「こんばんは、たっちゃんお久しぶりですね」
挨拶を交わしながら瞳がたっちゃんの隣に座る。その隣に伊知子が座った。
一番奥の、端の席。いつもはたっちゃんが座っているのだが、
めずらしく今夜はカウンターのど真ん中に中年オヤジは座っていた。
「なんだか新鮮だね、いつもと違う位置に座るのって。
 斜め45度で見る潤平さんの顔も素敵よぉ」
相変わらずだねぇとたっちゃんに鼻を鳴らされて、伊知子もフンと鼻を鳴らし返す。
それを無視しながらビール二つ、と瞳が潤平にVサインを見せた。
 


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