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嘘の数だけ素顔のままで
第2章 去勢【1】
「付き合ったのってその不倫の人だけですか?」

 コトブキはドキリとして目が泳いだ。


 もう一人います、

「一人だけ?」

「いま二十七だよね」

 コトブキの返事がどもる。


「二十七で二人だけってちょっとおかしくない?」そう言った女が、ねえ、と周りに同意を求めた。

 すると誰かが、一人が長かったんじゃないの、とコトブキの代わりにフォローを入れてくれた。


「コトブキくんは一途なんだよ、ね?」

「真面目そうだもんね」

「でもさあ、ありえなくない? 真面目な男が普通不倫するかあ」と先ほどの女がヒタチノゾミを見た。

 ヒタチノゾミは微笑みつつも、どこか他人事のように、うん、と返事をした。


「不倫の人と別れてからずっと一人?」

「女いなくてよく我慢できるよね」

「だってほら、女の人って何でもしてくれるじゃない」

 コトブキは、『何でも』という言葉の響きに死にたくなった。


「ってことはさ、二人しか知らないってことですか?」

「ちょっとお、何聞いてんのよ」

 隣の女が肘でつついた。


 もし、本当に二人でもいてくれれば充分だとコトブキはそう思った。


「でもコトブキくんってアレじゃない? オナニーは毎日ぐらいでヤッてそうだよね」

「裸でヤッてたりして」

「やめてよー! いま想像しちゃったじゃないですかー」

 タナカが隣の女に何か耳打ちしている。その間ずっとコトブキの方を見ている。やだあ、と女が笑いこう言った。


「タナカさんがコトブキくんって遅漏そうだよねってゆってまーす」

「もしも電気消してエロ動画観てたらキモくないですか」

 聞き役にまわっている女数人が顔を赤らめた。ヒタチノゾミも例外ではなかった。しかし、一番顔が赤かったのは言うまでもなくコトブキ自身だった。


「あ、そうだ、職練終わったら新年会も兼ねて皆で飲み会しない?」と一番声のとおる女が言った。

「賛成!」

「やりたーい!」

「コトブキくんも飲めるでしょ?」とオオハナタカコは言った。

 女十二人から熱烈に見つめられてコトブキに断れるはずがなかった。


 いいですよ、

「じゃあ、詳しい日取りの方は後ほど!」

 コトブキには、女たちの盛り上がりが鬼の首を取った勝鬨にしか聞こえなかった。


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