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嘘の数だけ素顔のままで
第2章 去勢【1】

ヒタチさんとかかな、
静まり返っていた場の緊張が一気に弾けた。
「あたし場所変わりましょうか?」とオオハナタカコは言った。
コトブキはひどく恐縮してしまい、オオハナタカコの目を見ずに何度も頭を下げた。そのあとでヒタチノゾミの方へ一瞥してみたが、彼女の傍にいる女たちから冷やかされているわりには嬉しくなさそうだった。
「でもヒタチさん結婚してるしねえ」
「また不倫になっちゃいますよー」
「教室でいきなり始めないでくださいねー」と誰かが言ったあと、おばさん臭い嬌声が沸き起こった。
オオハナタカコが、コトブキくんの場合はトイレ使うんじゃないの、と言えば女たちからきょう一番の悲鳴があがった。
コトブキは再びヒタチノゾミの方を見た。だが、ヒタチノゾミは一度だってコトブキの方を見ようとはしなかった。
静まり返っていた場の緊張が一気に弾けた。
「あたし場所変わりましょうか?」とオオハナタカコは言った。
コトブキはひどく恐縮してしまい、オオハナタカコの目を見ずに何度も頭を下げた。そのあとでヒタチノゾミの方へ一瞥してみたが、彼女の傍にいる女たちから冷やかされているわりには嬉しくなさそうだった。
「でもヒタチさん結婚してるしねえ」
「また不倫になっちゃいますよー」
「教室でいきなり始めないでくださいねー」と誰かが言ったあと、おばさん臭い嬌声が沸き起こった。
オオハナタカコが、コトブキくんの場合はトイレ使うんじゃないの、と言えば女たちからきょう一番の悲鳴があがった。
コトブキは再びヒタチノゾミの方を見た。だが、ヒタチノゾミは一度だってコトブキの方を見ようとはしなかった。

