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嘘の数だけ素顔のままで
第6章 痴漢【1】
 ヒタチノゾミのスマホを顔に近づけて見てみた。所々小さな傷がついてあるのを見ているうちに匂いを嗅いでしまった。ヒタチノゾミがトイレに行ったあとの指や自分のからだを慰めたあとにスマホをいじっているところを想像した。コトブキは妙な興奮を覚えた。股間に手が伸びた。

 だが、触れた途端にその動きは止まった。『先生』のザーメンのついた指で触ったのではないのか、そう思ったからだった。

 スマホから微かに女っぽい匂いがしていたような気がしたが、もはやそう思い込むのが難しくなった。ただのプラスチックだ。


 ヒタチノゾミのスマホの電源を入れた。壁紙は家族の集合写真だった。ヒタチノゾミがいて旦那がいて男の子が二人いて女の子が一人いる。背丈から見て、長男次男が高校生と中学生、一番下の長女が小学校高学年だろうか。

 旦那は平凡そうな顔付きで意外だった。ヒタチノゾミの容姿と釣り合いがとれていなかった。


 ラインやスカイプといったアプリは後回しすることにした。ネットにアクセスした。ヒタチノゾミが普段何について調べているのかそういったことに興味があったからだ。


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