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嘘の数だけ素顔のままで
第6章 痴漢【1】
 横五列に並んだサムネイルを見ているうちに、女たちにひとつの共通点があることに気がついた。ページを十まで進んだところでそれは確信に変わった。

 登録している女というのは三十代、四十代がメインだった。五十代や六十代に見える女も中にはいた。だが、二十代や十八、九らしい女は一人だっていなかった。

 利用規約にそういった年齢制限があるのだろうか、コトブキはふとそう思ったが、コトブキ自身は二七、だとしたらそれはおかしい。とすれば、男性と女性では利用規約が違うのだろうか、男が登録無料で女が月額三万だったように、などと憶測は次々と浮かんだ。


 月額三万円の女たちはどれも皆奇麗だった。ただ奇麗というだけではなくてヒタチノゾミがそうであるように、どこか暇を持て余しているような品があった。

 それに、顔写真に加工した感じはない。顔に影が映っている女がいるし免許証の顔写真のように真正面から撮られているものも少なくない。それでも形容しがたい品がある。それでいて、匂い立つように生々しかった。秘密クラブだ! コトブキは想像を膨らませて息を呑んだ。


 そうだ、タイトルと本文を書かなければ、コトブキはそう思い立った。傍にあったノートパソコンの電源を入れた。スマホで文章を考えると散漫になるとそう思ったからだった。パソコンが立ち上がるまでの時間さえもどかしくて煙草を喫った。


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