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スカーレットオーク2
第7章 7 検査
「ログインします?」

 直樹がベッドで落ち着きなくゴロゴロしていると緋紗が聞いてきた。

ネットゲームで毎週恒例の戦争が始まる。

「今日はよすよ。話があるんだ。いい?」

「ええ、もちろん」



 直樹は身体を起こしてベッドにもたれかかり、緋紗を自分の身体に引き寄せた。

そしてこの前の検査結果を話した。

緋紗は少し驚いたが、ここのところの直樹の様子でなんとなく察していたようだ。

「そうでしたか。直樹さん。とても辛かったですね」

 涙をためた目で緋紗は直樹を見つめた。

(俺が辛いのか)



「子供が作れないわけではないけど、なんだか気が滅入ってしまって」

 緋紗が直樹を抱きしめながら「変なこと考えないで下さいよ」と、ここ数週間の直樹の考えていたことを見透かすように言った。

「ごめん。色々考えてた。別れることも想像した」

「だいたいわかります。伯母さんがそうでしたから」



 緋紗の伯母は子供ができないことで自分を責め、夫に対する申し訳なさで離婚を申し立てた。

しかし伯母を愛していた夫は二人で寄り添っていく人生を選んだ。

阪神淡路の震災で二人が離れるまで。



「伯母が言ってました。最初は相手に悪いと思ったらしいです。他の女性なら子供を産んであげられるのにって。そのうちに自分が不完全だと思う気持ちが湧いてきて、どんどん卑屈になってしまったらしいです。それでも伯父さんが愛情深い人だったから伯母さんは自分の人生をとても幸せだったと言ってましたけど」



 緋紗はどこか遠くの伯母と交信しているかのように話した。

そして直樹の涙を女性にしては無骨なごつごつした指で拭った。

(ああ。泣いていたんだ。俺は)
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