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スカーレットオーク2
第8章 8 カルメン
 二人はまっすぐ家に帰り入浴をしてすっかりリラックスをした。

直樹がマティーニを作り緋紗の作った備前焼のグラスに注いで寝室に運ぶ。

「乾杯」

「美味しい」

 直樹はにっこりした。

「カルメン良かったですねえ。今のほうがホセの気持ちわかるかな。あーでもミカエラが可哀想かなあ」

「しょうがない。気持ちがないのに一緒にいる方が可哀想だと思うしね」

 同じものを観ても違う感じ方をしてお互いをもっと知っていく。

「そうですけどね。ミカエラに感情移入しちゃうな。もしも直樹さんにカルメンみたいな人が現れたりしたら……」

「もういるよ」

「え」

 笑ながら言う直樹に緋紗はさっと眉ひそめ心配そうな表情をした。



「緋紗だよ」

 口づけしながら言う。

「最初に誘惑された時を思い出すよ。いきなりで何を言われたのかわからなかった。なんでそんな気分になったの?」

 緋紗はうわずってしどろももどろに話した。

「誘惑だなんて……。バーから出て、階段から落ちそうになったときに初めて触られて。なんだか……あのとても熱くなってきて……。よくわかりません。」

「男の子みたいだったのに、俺も興奮してしまったよ」



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