パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第14章 Love１３：待つ男

「痛いっ！」
私の大きな声を聞いて我に返ったのか、ぱっと手が解放された。

「桂木さん…あの…」

私はその瞬間、自転車に乗って走り出した。

もしかしたら、謝りたかったのかもしれないし、もう一度身体の関係を求めてくるつもりだったのかもしれない。分からないけれど、底知れぬ恐怖が私の身体をその場から逃げさせたのだった。

振り向きもしないで家まで自転車を走らせる。

マンションの駐輪場に入る前に後ろを振り向いたけれど、佐野くんの姿は見えなかった。自転車も近くになかったし、追いつかれるはずはなかったけれど、それでも怖かったのだ。


なぜあの公園にいたのか…

私の帰り道があそこだと言うことは、誰にも言っていないはず。私を待っていたときのあの表情が思い出されて、背中がゾクゾクしてくる。


また明日もHoneysの仕事があることに恐怖を感じる。


佐野くんはいつもならいない曜日だ。

（また待ち伏せされたら…）

もしもの事を考えて、明日は車で出勤することにした。来週の冴島さんとの待ち合わせも少し考えないといけないかもしれない。



私と冴島さんの姿を見たら、あの大きな体で何をしてくるかわからない。


佐野くんと関わってしまったことを心底後悔していた。