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blossom
第23章 Love22 : 桂木さくらという女
歪な私と歪んだ夫には、緩衝材がなければ一緒にいられないという結論に至った。

夫の欲しいものは私だけでは埋められない時があり、私の欲しいものが夫だけでは足りない時もある。
その隙間を別の人に埋めてもらうのが私たちの形だと、お互いが認めることにしたのだ。

もちろん私が一番に欲しいものは、夫だけが私に与えてくれる。劣等感、束縛、執着、嫉妬…汚くてドロドロしている、病的に私を欲する気持ちだ。

愛されているという実感、それがたとえどんな愛だとしても愛する気持ちに繋がるのが私という女なのだ。


そしてまた、桂木拓人という男は、私を独り占めしたいと心から望みながらも、誰かに盗られるかもしれないという不安に身悶えしながら私を愛したいのだ。


父親と母親としては互いに申し分ない愛情を子供に注いでいる。
その上で、男と女としても互いを求め合う理想の関係でいたいという結論に達した。


冴島さんにも私の選択を伝えた。
それを聞いて離れていくのなら…それも致し方ない。


ただ、私には確信に近いものがあった。

冴島さんは絶対に離れていかない、と。


なぜなら、夫と冴島さんは似たもの同士だから。きっと嫉妬し合って、優越に浸りあって、静かに私を争ってくれるに違いない。

私はその戦利品として奪い合われる快感に浸れるのだ。

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