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blossom
第23章 Love22 : 桂木さくらという女
~♪
スマホが着信を知らせる。
画面を見ると冴島さんだった。

夫が近くにいないことを確認する。

「もしもし、幸貴さん?」

[ キレイだね、桜]

「え?」

[ この間、家族で花見に行く話聞いて、つい見に来ちゃったよ。]

「そんな…」

[ 大丈夫、心配しないで。家族の前にいるさくらさんを少し見てみたくなっただけなんだ。すごく…優しい顔してて素敵だった。]

「でも私、今、桜見ながら幸貴さんのこと思い出してたんです。」

[ 本当に?嬉しいな。]

「会いたい…顔が見たいな…」

[ 僕は触れたいな]
ドキドキと心臓が高鳴る。

「どこにいるの?」
キョロキョロと周りを見回す。

[ そこから広場を突っ切ると駐車場があるから]

「うん、そこに行けばいい?」
冴島さんの言葉を待たずに、貴重品の入ったバッグだけ持って動き出していた。


[ 大丈夫?]

「あぁ…どうしよう」

[ どうしたの?平気?]

「会えるなんて思ってなかったから、驚いちゃって……私、すごく、興奮してる」

[ いいね、僕もだよ]

「早く会いたい」

[ うん。会って抱きしめたい]
電話の向こうに熱い吐息を感じる。

「あぁ…ジンジンしてきちゃう。幸貴さんの声」

[ どこが?]

「意地悪っ。駐車場着いたよ、どこにいるの?」

「ここだよ」
背後から聞こえる声と電話の声が重なった。私が振り返るより先に後ろから抱きしめられた。
尾てい骨に当たる硬いものを感じる。

「幸貴さっ」
重ねられた唇からはすぐに舌が挿し込まれた。

(あぁ…このキスが好き……)
人目が気になるのに、腰をピクピク反応させてしまうのだった。
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