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S級有害図書
第1章 「篠原朋子の場合」
 雲一つない快晴。今日は母の結婚式に相応しいいい天気になった。私の名前は、川崎朋子、高校一年生。あ、今日から篠原に変わったんだったっけ。母の再婚で、私には急に父と8つも年上の兄ができた。父は有名大学の教授で、兄は大学病院の勤務医なんだそうだ。今夜は熱海の温泉旅館へ新婚旅行だ。本当は父と母で行けばいいのに、親睦を深める意味で私と兄も付いて行くことになった。温泉かぁ。ちょっと楽しみ。



「えっ、兄と同室なんですか?」

 本当なら家族みんなで一部屋でいいんだろうけど、さすがに新婚旅行の新婚夫婦と同室はキツい。ということでもう一部屋借りることになった。てことは兄と同室なのも仕方ない。まー、これから兄妹になるわけだから、問題ないでしょ。

「おい、先に風呂入ったらどうだ?」

兄が声をかけてきた。部屋に専用に備え付けられた露天風呂だから、気を利かせてくれたようだ。最初からそれが目的で来たわけだし、断る理由はない。

「じゃあ、お先にお風呂いただきますね」
「そんな堅苦しい言い方しなくても。俺たち、これから兄妹になるんだからさ」

そんなこと言われても急には無理ですよ、お兄様。

「な、なるべく早く慣れるようにします」
「ごめん。急には無理だよな。焦らなくてもいいよな。じゃあ、風呂お先にどうぞ」
「気を使わせるようでごめんなさい」

ではお先にお風呂、堪能させていただきます。



 お風呂の後、家族で食事をして、温泉卓球して、トランプして、遅くなったので寝ることにした。兄が布団を敷いてくれた。部屋の灯りを消して、おやすみの挨拶をする。

「おやすみなさい」
「ああ、おやすみ」

あったかい布団でゆっくり寝ることにした。
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