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転生悪役令嬢は甘く、乱される。
第4章 傷を孕む、義弟との出逢い
「美味しい? ラドルフ」
「う、うん……こんなに美味しいもの、生まれて初めて食べた……」
ホロリ、と。
ラドルフの金色の瞳から、大粒の涙が一筋頬を伝い落ちる。
「ラドルフ……」
「……スン、グズッ……あり、ありがとう、お姉ちゃん」
泣き崩れた顔で笑みを浮かべ、お礼を言われて、
私は思わず華奢なその背中を抱き締めていた。
「お姉、ちゃん……?」
「そんなに気に入ったなら、またおにぎり、作ってあげるね」
「! うん…!」
その時の泣き笑いのラドルフの顔は、今でも忘れられない。
――そして、この夜の出来事を切っ掛けに、ラドルフは私や家族みんなに少しずつ心を開いてくれるようになった。
特に姉の私には懐いてくれて、あの夜の日から、寂しいからと私やラドルフのベッドで一緒に眠るようになった。
季節は秋から冬へ、春から夏へ。
ラドルフや家族のみんなと一緒に過ごす日々は目まぐるしくも、あっという間に流れていき――――…
いよいよ、私はデビュタントを迎える16歳になった。