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転生悪役令嬢は甘く、乱される。
第5章 始まりの舞踏会
「……ん、姉さん……」
「んんっ……」
「……朝だよ。そろそろ起きなよ――」
頬を指先で軽く擽られ、寝起きの掠れた低い声で耳たぶに触れる距離で囁かれる。
「――でないと、俺……姉さんを襲うよ?」
「襲…………え、ちょ…っ!」
乱れた私の前髪を掻きあげた額にチュッと唇が触れ、武骨な指先が薄い寝間着のネグリジェの上から悪戯に這う。
腰元のくびれをなぞり、その上へと更に向かいそうになったところで、
「もう! ラドルフってば! どうしてそう、心臓に悪い起こしかたをするのよ!!」
「チッ……もう起きちゃったか。残念」
私の真上にのし掛かり、軽く悪態をつくその姿は、成人男性とほとんど変わらず。
長かった漆黒の前髪は程よくカットされ、左に流すように揃えられているお陰で、金色の細められた瞳に私の慌てた表情がはっきりと映し出されていた。