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転生悪役令嬢は甘く、乱される。
第7章 碧の瞳に囚われて


たったひとつの視線だけで、

頭の上から、足の爪先まで、

全身をその瞳に支配されてしまったかのように、見入られてしまう。

レイモンド殿下に関わってはいけない。

頭の中では警告がずっと鳴り響いているのに、目が離せない。


「――さん、……姉さん?」

「あ……」


眼前で手を振られ、意識が覚醒する。

殿下を遮って、心配そうに私を覗き込むラドルフの顔が目の前にあった。


「さっきからなんだかボーッとしてるけど、大丈夫?」

「あ、ああ……うん。大丈夫……よ」

「…………」


何でもない風を装うとしても、動揺は誤魔化せない。

視線を逸らして目線を泳がせる私を、ラドルフは疑いの眼で見ている気がした。


「ふーん……そう」

「……な、なに? 何か言いたいことでもあるの。ラドルフ」

「……いや、姉さんが何でもないって言うなら、良いんだけど」


そうラドルフは答えながらも、納得はしていないようだった。

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