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転生悪役令嬢は甘く、乱される。
第7章 碧の瞳に囚われて


けれど、気を取り直したのか、


「……そんな事より。姉さん、俺と一曲踊ってよ。せっかくこうして舞踏会に来たんだからさ」

「そうね……」


晴れの舞台で、ただ壁の花になっているのも味気ない。

ラドルフと二人、屋敷では躍りの稽古をこなしていたお陰で、一通りのステップは覚えている。

差し出されたラドルフの手を取ろうとして、ふと目線が奥へ流れる。

ちらりとラドルフの肩越しに奥を覗くと、席を離れたのか――レイモンド殿下の姿は無かった。


(所用にでも行かれたのかしら……)

「……姉さんの初めては誰にも渡したくないし。ほら、こっちで踊ろう!」

「キャッ…! ちょ、ちょっと、ラドルフ…っ」


躍りの輪の中に飛び込むように、ラドルフの手で強引にダンスに引き込まれる。

一瞬脳裏にレイモンド殿下の姿が浮かんだけれど、頭の中でそれを振り払った。

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