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転生悪役令嬢は甘く、乱される。
第7章 碧の瞳に囚われて
「もう喉が渇いて仕方なかったのよね。早速――」
グラスに口を付けて、中身を一気に飲み干す。
「!!」
(あ……もしかして、これ)
舌の上で味わう、炭酸で酸味のある味。
薄く黄色味がかっていた液体は恐らく、林檎酒か何かだったのだろう。
一息に飲み干してしまったせいで、喉が徐々に熱くなってくる。
「まずいわ……私、ただでさえお酒弱いのに」
転生しても、そういう体質も引き継がれるのだろうか。
お酒だと気付いた時には、すでに遅く。
次第にくらくらとした酩酊(めいてい)感に襲われた。
「あ……め、まい、まで――」
人の熱気もあるせいか、酔いの回りが早いような気がする。
(外で涼めば、少しは酔いも醒めるかしら……)
ふらふらと覚束ない足取りで、壁伝いに手をつきながら、一番近くにあったテラスへと向かう。
初めての舞踏会による緊張や、ラドルフの一件。
更にはお酒の酔いも加わって、私は大事な事をこの時、すっかり忘れていた。
……私が涼みに向かった先。
それが――皮肉にも、
レイモンド殿下が待ち合わせに指定した、“あの”テラスだったのだ。