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転生悪役令嬢は甘く、乱される。
第7章 碧の瞳に囚われて
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――どれくらい、躍り続けていたのか。
男性の誘いを無下にする事も出来ず、ヒールの足で躍り続けた結果。
もう足はクタクタ。
喉はカラカラ。
「はぁ、少し休みたいわ。何か、飲み物は無いかしら……」
切りの良いところで輪を抜け出し、壁際に背を預けながら、キョロキョロと辺りを見渡す。
「ラドルフ様、次は私とお願いいたします」
「ええ。もちろん、喜んで」
視界の片隅では、ラドルフが未だにご令嬢の相手を続けているようだった。
あの子のことだ。揉めて騒ぎになるのも、面倒だとでも思ったのかもしれない。
嫌な顔ひとつせず、ダンスではしっかりと女性をリードしていた。
(……ラドルフも、大人になったものね)
あんなに小さかった子が……と、感慨深くなる。
「――お飲み物はいかがですか?」
「あっ、頂くわ」
ラドルフの様子を窺っていたら、広間を回っている給仕の男性一人がグラスを配っていた。
迷わず声を掛け、手渡しでカクテルグラスを受け取る。