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転生悪役令嬢は甘く、乱される。
第10章 王子の訪問は、突然に。


(ああ……今日も平和だわ)


マリーナが用意してくれたマフィンに舌鼓を打ちつつ、アールグレイの紅茶を一口味わう。

日課になっている、レッスンや勉強を終えての午後の一時。

庭にある休憩用の東屋の下。

白に塗られたステンレス製のテーブルセットの椅子に腰掛け、秋晴れの心地良い風を浴びながら、私は一人ティータイムをゆったりと楽しんでいた。


(きらびやかな、あの舞踏会の日が……まるで夢のよう)


豪奢なシャンデリアの下で、踊り舞う紳士淑女。

演者が奏でる音楽は時に激しく、時に緩やかに。

聞く者の耳を満足させる出来の素晴らしいものだった。


(そして私はあの晩……推しで憧れのレイ王子に出逢ってしまった)


ゲームの筋書き通り。

あの方との出逢いは必然で――その運命には逆らえないのかと、驚きと戸惑いが私を襲った。

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