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地味子が官能小説を書いたら
第10章 初夏の頃
京浜東北線は、もうすぐ赤羽駅へ着こうとしていた。

私は書きかけの小説を保存した。

書きながら、自分でも気持ち悪くなったが、電研のメンバーと決めたラストに向かって、どうしても外せない描写だった。

私なら、どんなに仲が良い友達、例えば千佳や美鈴を相手に絶対できない行為だ。

電車がするするとホームに滑り込み、やがて、ゆっくりと停止すると各車両のドアが一斉に開く。

私も他の乗客と共にホームに降り立ち、改札のある1階へと降りていく。


約束の時間は午前10時、改札を出たところのドーナツ屋の前で待ち合わせになっている。

私はいつも人と待ち合わせるときは10分前に待ち合わせ場所に着くように心がけている。

文剛も弁岳も、約束の時間に遅れる事などなかった。



が…………


こない!


10時15分、私はしびれを切らせて流留へ電話をかけた。

『ふぁ~い』

明らかに寝起きの声だ。

「ちょっと、流留、今どこにいるの?」

『うわ~~~、しまった! すぐ迎えに行きます、待っててください!!』


さらに待つこと15分、ようやく流留は待ち合わせ場所に現れた。

「ごめんなさい~、花音先輩、ちょっと、電車が混んでて、あはは」

「なんで電車が関係するのよ、信じられない! 女の子を待たせるなんて」

「いや、ホントに申し訳ない。昨日、遠足前の小学生になっちゃって、なかなか眠れなくて……」

「あれ~、花音先輩、今日はまた、初夏らしい爽やかな装いっすね」

と話題を変えようとする流留。

「そうよ、デートだから、一応オシャレしたの、で、あなたはその恰好なのね」

一方の流留は、よれよれのTシャツに、これまたヨレヨレのジーンズ、それに便所の下駄みたいなサンダル履きだ。

しかも、無精ひげ、おそらく顔も洗っていない。

私は、だんだん腹が立ってきた。

とっとと料理を作って帰ってしまおう。小説の続きも書きたいし。

「買い物行くわよ、スーパーは何処?」

「あ、こっちっす」

そんな私の曲がってしまったヘソにも我関せずに、流留は呑気に歩き出す。

(ま、流留なんだから仕方ないか……笑)

「本当にカレーで良いの?もっと手が込んだのも作れるよ」

「初めて彼女がご飯作りに来てくれる時、定番はカレーなんすよ」

「誰が、『彼女』なのよ」

「だから、一般論っすよ」




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