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不倫研究サークル
第12章 女社長
(うっ、ち、近い……)

今にもキスできそうなくらい、綾乃は距離を縮めてくる。

「それに、すこし変わったわね。 男らしくなった、のかしら?」

「あ、宮下さん。 近いです……」

「だって、こうしないと川本さんから見えてしまうわ」

愛莉から、僕は完全に見えない位置にいるが、綾乃は少し見えてしまう。僕もできる限り身体を壁に寄せた。

すると、さらに綾乃が身体を寄せてきて、僕たちはピタリと身体を密着した状態になった。ヒールのせいもって、綾乃の身長は僕と変わらない。しかもかなりの巨乳で、身体を密着させると柔らかい感触が直接伝わってくる。


(マズイ!)


僕の下半身が意思に反して生理現象を起こし始めていた。

「今、日程を決めて」綾乃が耳もとで吐息をかけながら、決断を促す。僕はいつしか、綾乃の背中に手を回していた。

綾乃も僕の肩に手を添えて、二人は抱き合うような体制になっていた。

「今度の、土曜日、僕の家庭教師が終わってから、どうでしょう?」

「いいわよ……」綾乃は返事をすると、少し顔を離す。

これは、僕にも最近、空気というものが分かるようになってきた。綾乃は今、キスをしたいと思っている。

僕は、そう確信した。しかし、すぐそこに愛莉もいる。心臓がバクバクと鳴った。

が、僕は行動に出る。綾乃の顎を指先で軽く摘まみ、引き寄せると、綾乃はゆっくりと目を閉じた。

僕も、綾乃の唇の位置を確認すると、目を閉じ、唇を合わせる。

密着させた身体をさらに強く引きよせ、僕は生理現象を綾乃のタイトなスカートの上から擦りつけた。綾乃も大きな胸を僕の胸板に押し付けてくる。

これは、既に経験がある。男女がお互いの身体を求めあう仕草だ。

綾乃も、僕の事を欲しているのだろうか?

数秒、唇を合わせ、舌を絡めた後、僕たちは一旦離れる。

「ひどいわ、こんなことをして……」

綾乃が眉をひそめる。

(しまった! 早まったか!?)

僕は、もしかしたら破廉恥なことをしてしまったのだろうか? 不安が気持ちを支配する。


だが、すぐに綾乃の言葉の真意は分かった。

「デートよりも先に、キスを経験するなんて……、森岡君が私のファーストキスの相手よ」

(え? ハジメテって?)

「私、男性経験、ゼロなの」

綾乃の声が耳元で吐息交じりに聞こえた。




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