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不倫研究サークル
第12章 女社長
「ねえ、もう一回して」

綾乃は再び目を閉じる。僕も応じて、再び唇を重ねた。

僕の肩にかけた綾乃の指先に力がこもり、先ほどよりも更に強く身体を押し付けてきた。
もし、愛莉がいなかったら、このままセックスしてしまいそうな勢いだった。

興奮して、二人とも息が荒くなっている。

「あ、宮下さん、川本さんがいるし、この辺で……」

唇を離すと、綾乃は恨めしそうな目で僕を睨みつけた。

「川本さんって、森岡君のカノジョなの?」

「え、ち、違いますよ? どうして?」

「だって、腕を組んでたじゃない。 単なる友達って感じじゃなかったわ」

「あ、あれは、人が多かったし、はぐれない様にしてただけです」

一応、モルモットとしての位置付けだけど、美栞というカノジョはいるが、そんなことは言えない。

「そうかしら? じゃあ、誰が森岡君をオトナにしたのかな?」

「そ、それは……、色々あって……」

佳那と不倫関係にあることも、とても話せたものではなかった。

「まあ、良いわ。 土曜日、じっくりと尋問してあげる」

僕は、少し土曜日が怖くなった。綾乃の質問攻めは、裁判での被告人にたいする尋問並みかもしれないからだ。

「すこし、ここにいて。 一緒に戻ると、川本さんが不審に思うでしょ」

そう告げると、綾乃は事務スペースの方へ戻ってい行った。僕は、その場で呼吸を整え、生理現象が収まるのを待った。


事務スペースに戻ると、綾乃は何事もなかったように自分のデスクに戻り、パソコンに向かって仕事をしている風だった。

僕が戻ると、愛莉は一瞬だけ僕に目をやり、すぐにパソコンへと向き直った。

パチパチとキーボードが響く部屋の中で、先ほどの綾乃の言葉を思い出していた。

『私、男性経験、ゼロなの』……、まさか綾乃が処女だったとは、驚き以外の何ものでもなかった。しかも、キスさえも経験がなかったとは……。

今更ながら、僕は綾乃の事を良く知らない。僕の中の綾乃は、美貌と才能を併せ持った才色兼備の美女で、スタイルも抜群な、神様からいくつも与えられたものを持っている、高嶺すぎる花だ。

そういえば、綾乃は何歳なのだろう? 女性の年齢を気にするなと、初めてのコンパの日に不倫研の先輩である高橋に言われたことがある。

しかし、僕は今、綾乃の事を凄く意識している。

気になった。




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