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不倫研究サークル
第12章 女社長
綾乃との約束の日。

僕は、陽菜の家庭教師が終わると、真っすぐに新宿を目指した。
綾乃とは、新宿の西口で待ち合わせをしていた。

時間通り、待ち合わせ場所に現れた綾乃を見て、僕は驚く。

いつもカチっとした恰好をしているのに、その日は、フワッとしたお嬢様風の大学生みたいな恰好をして現れたからだ。


「お待たせ」といった綾乃を、僕はポカンと口をあけて見とれる。

「や、やっぱり変かな? それに、いつもタイトなスカートを履いているから、フワフワして落ち着かない」

スカートを広げて腰を左右に振りながら、綾乃は身体をひねる。

「あ、いえ、いつもと雰囲気が違うな、て思いましたが、凄く似合っていると思います」

「ありがとう」

そう言うと、綾乃は少しはにかんで見せた。

「お店、予約しています。 行きましょうか」

「エスコート、頼むわね」

そう言って、綾乃は、僕の腕に手を絡めてくるのだが、ぎこちなさが伝わってくる。明らかに陽菜よりも慣れていない風だった。

「う、腕を組んで歩くって、結構むずかしいのね」

上手く歩調を合わせられず、綾乃の身体が必要以上に揺れているのが分かる。それに、その度に綾乃の大きな胸が腕を刺激する。

最近では平常心をコントロールできるようになり、少しの事では動揺しなくなったのに、それでも下半身が反応してしまいそうだった。

お店は、新宿の西口にある高層ビルの焼肉店を予約しておいた。

窓から夜景が望める、デートには打ってつけのお店だ。もちろん、岸本に教えてもらったのであって、自分で見つけた訳ではない。


「へ~、森岡君。 良いお店を見つけたね」

綾乃は少女のように甘えた仕草をする。


席に通され、係の人が注文を取りに来ると、綾乃は「彼にお任せしてますから」と、全て僕に対応させようとする。

僕は、特上の焼肉セットとビールを注文した。今日は、最初から僕も付き合うつもりだった。

「ウフフ、合格よ森岡君。 焼肉だし、最初はビールね」

「そういえば、宮下さん。 今日は髪形もいつもと違いますね」

綾乃はいつも、ウエーブをかけてフワリとした髪型なのに、今日はストレート系の落ち着いた感じ、お嬢様風に仕上げている。

「アラサーには若作りだったかな 笑」

(アラサー……て)




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