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不倫研究サークル
第12章 女社長
(えええーーー! け、結婚を申し込まれた!?)

さすがに、動揺を隠しきれない。

「え、え……と、それって、け、け、結婚、ですか?」


僕の慌てぶりを見て、綾乃は目を丸くする。

暫く、ポカンとした表情だったが、何時ものキリリとした綾乃に戻ると、眉をひそめた。


「責任を取りなさい! 私の処女を奪ったんだから」


女性にとって、処女喪失とは、そんなにも重要なイベントだったのか!? と思い知らされる。

綾乃のことは、好きだし、尊敬しているが、この場で結婚は決められない。

なにせ、僕はまだ学生で、自活できていない。

しかし、責任は取らないといけない、逃げるなんて卑怯者のする事だ。

「わ、分かりました、でも、卒業するまで待ってください」

綾乃は、僕の答えに、また目を丸くする。


「ちゃんと就職したら、結婚します。 なんなら、誓約書を書きます」

と、僕がそこまで言うと、綾乃は、ブーと噴き出して大笑いを始めた。

「み、宮下さん?」


「ご、ゴメンなさい 笑」

綾乃は、ヒーヒー言いながら笑っている。

「え……と、何か変でした? 僕の答え……」


それでも、笑いが治まらなかった綾乃だが、ようやく落ち着きを取り戻す。

「私、『結婚して』なんて言ってないわよ 笑」

「でも、パートナーって」

「パートナーよ、夫婦になるんじゃなくてね」

「どう違うんです?」

「結婚して、夫婦になって、子供を作って育てて……そんな生き方には、私、興味ないの」

「はあ……」

「今まで、私は一人で仕事してきたわ。でも、そろそろ協力してくれる人が欲しかったの」

「仕事のパートナー、という事ですか?」

「仕事、もだけど、身体と心も寄り添ってくれる人になって欲しいの」

僕は……、なんとなくだけど、結婚して、子供を作って、家族になって、年老いていく……、それが普通の生き方だと思っている。


綾乃の考え方が浸透しない。


「もちろん、森岡君に好きな人ができて、ん? もういるのかしら? いたとして……」

「その人と恋愛するのは自由、将来、結婚しても良い。 お給料も払うわ」

「私を手伝って」

(これって、なんだか……)

「で、たまに、抱いて欲しいの」

(愛人? みたいな……)


「ね」


こうして僕は、女社長の愛人になった……のか?




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