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不倫研究サークル
第13章 それぞれの道
「久しぶりですね。 森岡。 試験はどうでしたか?」

声の主の変化に、僕は驚いた。


7月になると、大学は春学期(前期)の試験という学生にとって重要なイベントを迎える。
単位を落として留年でもしようものなら、大きな負担をかけている親に申し訳が立たない。

僕は、家庭教師も休み、佳那との不倫関係も中断させて勉強に励んだ。

試験が終わると、一週間ほどで夏休みに入る。
日常が戻った僕は、学食で美栞を待っていたのだが、現れた彼女は別人になっていた。


眼鏡からコンタクトに変え、髪も中途半端な長さだったものを、バッサリとショートカットにしている。
元々、小柄で目が大きく童顔だったのに、さらに幼く見えた。

そして、特筆すべきは爆乳だ。

身体にぴったりと張り付いたTシャツがはち切れんばかりに盛りあっている。


「森岡。 アナタ、またワタシの胸を見てますね。 相変わらずスケベですね」

美栞は不機嫌そうな表情を見せるが、これは仕方ない。見るなという方が無理だ。

「い、いや、すみません。 なんか、ミカン先輩、雰囲気変わりましたね」

実験的恋人関係となってから暫くして、お互いをどう呼ぶかという事になり、美栞はそのまま『森岡』に、僕は『ミカン先輩』と呼ぶことになった。

美栞曰く、『自分が先輩である事を強調したい』らしい。


「女は、恋人ができると綺麗になるらしいです。ですが、何もしなくても綺麗になるのではないらしいです」

(そ、そりゃあ……そうだろ)と突っ込みたくなる。


「だから、関係各所を回って、どうやったら綺麗になるか研究したのです。その成果が今のワタシです」

「ミカン先輩、とっても可愛いです」

僕の誉め言葉に、美栞はフルフルと口元を震わせる。どうやら、嬉しいらしい。


「森岡は、夏休みは帰省するのですか?」

突如、夏休みの話題を振られる。

「いえ、バイトもあるので、帰らない予定です」

「そうですか、それは都合よかったです」

「何がですか?」


「前々から、アナタに手料理を食べさせようと思っていたのですが、なかなか時間が取れなかったのです」

たしかに、お昼を一緒に食べていた時に、そういう話をしていた。

「来月、アナタの家へ行きます」

「はあ……」

「参考書によると、これは、女の子の覚悟……らしです」


「え?」




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