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不倫研究サークル
第13章 それぞれの道
僕たちは、裸のままベッドの上で抱き合っていた。
たった今、美栞は初体験を済ませたばかりだ。

ただ、綾乃みたいに泣きじゃくったりせずに、美栞が、ごく自然に僕に甘えてきたのは意外だった。

「ミカン先輩、あまり痛がりませんでしたね」

「参考書によると、初めての時は凄く痛いと書いてあったので覚悟していたのですが、拍子抜けしました」

同じ処女喪失でも、人によって違うのだなと知った。

「参考書には、男の人は好きでもない女とでもヤレるらしいですが、本当なのですね」

美栞の発言の意図が僕には分からなかった。

「僕は、ミカン先輩のことが好きです」

「無理しなくても良いです。 アナタ、さっき恋してないと言ったじゃないですか」

たしかに言った。返答に困ってしまう。

「ワタシは、先ほどは嘘を言いましたが、森岡に恋してます。 多分、うどんよりも好きです」

またしても、意味不明な例えで美栞は重要なことを言う。それに、やっぱり、うどんが好きなんじゃないか、と突っ込みたくなる。

「え……と、ミカン先輩は、僕に恋してるのですか?」

「ワタシは素直に感情を伝えることができないみたいです」

「森岡の事は、ずいぶん前から好きでしたよ。 だから綺麗になりたいと思ったし」

美栞は言いかけて、言葉を詰まらせた。

「ミカン先輩?」

「不覚にも、自分の夢を諦めようかとさえ、思いました」

「夢? ですか?」

「はい。 ワタシ、来月からイギリスに留学します」

「ええ!?」思わず、大きな声を上げて、美栞を見る。

「もし、アナタがワタシの事を好きで、本当に恋人になれるなら、留学はやめようとさえ思いました」

そんな大切なことを、僕のために止めるって、そんなに僕の事が好きになったのか? そんな感情はおくびにも出さずに。

「ミカン先輩が、そんな風に僕の事を思っていてくれたなんて、気づきませんでした」

「ワタシは、素直じゃないのです。 素直に自分の気持ちを伝えていたら……」

確かに、美栞はうどんが好きなくせに頑なに否定していた。どこか偏屈な性格だとは思っていたが、僕を好きだと表現していたら、もしかしたら愛莉とのことはなかったかも知れない。

しかし、今の僕は……。




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