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不倫研究サークル
第13章 それぞれの道
「ところでさ、小梢さんのこと、知ってる?」

「なにが?」

「は~ん、その様子じゃ、やっぱり何も聞いてないんだね」

陽菜が悪戯っぽい視線を向ける。

「小梢の事は、もう良いよ……」

せっかく、忘れかけていたのに余計な事を切り出すのだから……。


「先月、小梢さんとデートしたんだよね~」

「そ、そうなのか?」


『ほら、喰いついてきた』と言わんばかりに、陽菜がフフンといった表情になる。


「ビッグニュースがあるんだけど……、知りたい?」


(知りたい!)が、陽菜がタダで教えてくれるとは思えない。


「教えてあげても良いけど……、条件付きね 笑」

(ほら来た! やっぱりだ!)


「なんだよ……、勿体ぶるなよ」

「教えてあげるから、今から、圭の部屋へ行って良い?」

「なんで交換条件が、僕の部屋に来ることなんだよ?」

「だって~、受験前から最近まで、キスしてもらってないもの」

陽菜の受験が終わるまで、という事で暫くはキスをせがまれても自重していた。

「それとも~、路チューしてくれる?」

「ば、ばか! そんな事できる訳ないだろ」

「でしょ~」陽菜はテーブルの向こうでニヤニヤする。

「僕の部屋に来ても、それだけだからな、分かっているとは思うけど」

一応、くぎを刺すが、陽菜は予想外の行動に出るから油断できない。

「まあ、小梢さんに操を立ててるんだったら、もう必要ないと思うけどね」

「どういうことだ?」

「おっーと、これ以上は、後でね 笑」

(まさか……、小梢に新しい恋人でもできたのだろうか?)


小梢を諦めると誓っていても、やはり気になる。
僕は、残っていたパンケーキを一気に頬張った。

「ちょ、そんなに気になるの? さっきまで、あまり食べてなかったのに」

「僕も陽菜とキスしたいんだよ」

嘘である。本当は小梢の事が気になっているだけだ。そして、陽菜も当然、そんなことは分かってる。

「嘘つき!
ブーー、あからさまに嘘つかれるとムカつく~」

「ゴメン、でも、久しぶりなのは本当だろ?」

「まあ、たしかに、でもムカついたから、今日はBまでして」

「ビーって、何?」

「圭……、知らないの?」

どうやら、陽菜は昭和からタイムリープしてきたのだろう。

死語を使う。




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