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不倫研究サークル
第14章 愛莉
「心配してるのは、そこ? 笑」

「あいつが、責任とってくれるわけない、一人で子供産んで育てるつもり? それに、せっかく大学まで入ったのに」

「母さんだって、そうしたじゃない。 母さんこそ、どうして、わたしを産もうと思ったわけ? 父さんだって大概のクズじゃない」

「お前の父さんがクズなのは否定しない」と言って愛美はプイと顔を横にする。

「母さんがもし、安易な道を選んでたら、わたしはここに居なかった」

「わたしも、この命を大切にしたい」

母娘の会話に、僕は入り込む余地もなく、黙っているしかなかった、でも、僕にもできることがある気がした。

「あの……、凄く唐突なのは分かっているんですけど……」

「なに?」
「なに?」
愛莉と愛美が不機嫌な声をあげて僕を見る。二人とも目が冷たい。

「愛莉、結婚しよう! 子供は二人で育てよう。 大学も、保育所に預けられるようになったら、復学して卒業すれば良い」

「はあ?」
「はあ?」
またも二人がハモる。

「バカな事言わないで、圭の子供でもないのに、なんで圭が責任とるのよ」

「でも、愛莉の子供だ!」

「アンタ、子育てを舐めてるでしょ。 アンタが思ってるほど甘いもんじゃないよ。 ましてや他人の子供を」

「確かに、僕は、子育てなんて経験ないし、まだ学生です。 でも愛莉を幸せにしたいんです」

「だってさ、愛莉、アンタはどう思うの?」
愛美は、ヤレヤレと言った表情でため息をついた。

「わたしの幸せって、何?」

愛莉の幸せ……、僕は軽々しく口にしたが、そもそも人の幸せがどんなものなのか、考えたこともない。

「それは……、分からない。 でも、なんとなくだけど、愛莉が喜んでくれて、安らげて、健康で、安心できて、そんな生活ができるように頑張るよ」

「圭が、そうやって、わたしのために頑張ることが、わたしの不幸せになるって思ってないのね」

「へ?」

「あ~~あ、聞いてられない」
そう言うと、愛美は缶ビールを一気に飲み干した。

「ワタシはテレビ観てるから、アンタらで話し合いな」

「あ、愛莉。 産むんだったら……、まあ、覚悟はあるんだろうけど、その子は何があってもアンタが守るんだよ」

「うん、分かってる」


「あ、圭。 今日は遅いから家に泊まっていきな」

愛美は、欠伸をしながら自分の部屋へと入っていった。


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