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不倫研究サークル
第14章 愛莉
結局、僕も愛美に言い寄ってきた男たちと同じで、ただ愛莉を手放したくないから聞えの良い事を言っているだけに過ぎない。

そして、そういう僕の心の底を、愛莉は見透かしているのだろうと思った。だったら、本当に僕ができることを考えるべきだ。

「分かったよ、愛莉のことは諦める」

「圭……?」

「でも、友達として、愛莉の事を見守るくらいは、認めて欲しい」

「見守る? て、どういう事?」

「僕たちは、もう恋人同士じゃないし、もちろん結婚も考えない。 でも、大切な友達として間接的に愛莉の力になりたい。 それくらい良いだろ?」

愛莉がテーブルの向こうから手を伸ばし、僕の手に絡める。愛莉の温もりが、愛おしかった。

「ゴメンね、こんなことになって。 わたし、これからも圭の事が好きだと思う」


「あ~、喉が渇いた。 もう一本飲んじゃお」突然襖が開き、愛美が台所へ入ってきて、冷蔵庫から缶ビールを取り出すと、テーブルに着いた。

プシュ~という音が鳴る。

「で、話しはまとまったの?」

そう言うと、愛美は喉をグビグビ鳴らした。


「うん、わたしたち、別れることにした。 と言っても、友達関係は続けるけどね」

「まあ、そんれが賢明だよ。 圭、アンタの気持ちは嬉しいけど、二人とも若いんだし、今すぐ結婚とか、家族になろうとか、性急すぎるわ」

「はい、すみません。 一人でいきり立ってしまって」

僕は、一人熱くなったことを恥じた。愛美母娘は、僕よりもずっと現実を知っているのだと思い知らされる。


「もう遅いから、アンタらも寝なよ」

愛美は、缶ビールを飲み干すと、また部屋へ戻っていった。


「愛莉、具合はどう?」

「うん、今は落ち着いてる。 早いうちに婦人科に行かなきゃ」

「僕もついて行く!」

「ヤメテ、恥ずかしいから 笑」

「ご、ゴメン。 とりあえず、寝れる準備だけしようか?」




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