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不倫研究サークル
第16章 卒業
「そう、彼女って確か母子家庭で、お母さんも若い時に妊娠して彼女を産んだのよね。 そういう家庭環境が影響しているのかもね」

綾乃は、ワインのグラスに口づけすると赤い液体を喉に流し込んだ。

「だから、せめて彼女の生活が安定することができればと思ったんです」

「君は、本当におせっかいだね 笑」

綾乃は、さっきまでの厳しい表情を崩し、女の表情に変わっていた。

「川本さんには悪いけど、私には好都合なのかしら?」

「え?」

「だって、圭君は今、フリーなんでしょ?」

「でも、今更……、それに、僕は卒業したら地元に戻ろうと思ってるんです」


僕は、自分がこの先何をしたいか、どういう目標があるのか、綾乃に話した。


「そうなんだ……、そう言う事があったのね。 もしかして、今でもその子の事が好きなの?」

「それ……は……、はい」

「否定しないんだ 笑」

「すみません……」

「圭君って、前々から思ってたけど、見かけによらず熱いよね」

「同じことを、松江で会った高取さんにも言われました」


「でも、あんまり頑張りすぎると、暴走になっちゃうわよ。
だから、圭君もたまには誰かに甘えなきゃ。 そういう所を川本さんも心配したんじゃないの」

綾乃が、遠回しに復縁を迫っているのは感じ取れた。

「綾乃さんは、良いのですか? あと二年もすれば、この関係は否が応でも終わるというのに」

「逆に、期間が定まっているから、燃えるんじゃない?」


綾乃は立ち上がると、せっかく着た服を脱ぎ始めた。

「綾乃さん?」

「ねえ、私をこんなにしたのは誰?」


服を脱ぐと、綾乃はベッドに座り、裸の足を組む。

「圭君と別れてから、ずっと寂しかったのよ。 今夜は、その埋め合わせをしてもらうわ」

僕も服を脱ぎ、ベッドで綾乃を抱きしめた。先ほどまでの強い香水の匂いの代わりに、石鹸の匂いがする。


「僕って、ダメですね。 すぐに欲望に負けてしまう」

「別に犯罪じゃないし、正常な反応じゃないの?」

綾乃の理屈を、僕は唇で塞いだ。

「んんん……」綾乃の声が塞がれた唇から漏れる。

「でも、生徒にこんなことしちゃダメよ、 未来の先生 笑」

「しませんよ 笑」


と言って、陽菜の事を思い出した。

(陽菜との事も、ハッキリさせなきゃ……)




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