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体育倉庫のハイエナ
第21章 21
 現れたのは、マモルとヒデアキだった。

 どちらもレンヤの悪友で、ヤンキーだ。

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 マモルは細身で、飄々とした雰囲気を持つ男だ。

 顔全体が隠れるほどに伸ばした前髪は茶髪で、目尻が垂れ下がった所謂“タレ目”と、笑うと吊り上る口角が相俟って、僕はマモルの顔を見る度にトランプのジョーカーを連想してしまう。

 見るからにお調子者といった風采だが、実際のところかなりのお調子者だ。口数は多く、いつも冗談ばかり言っている。

 その声は高校三年生の男子にしては妙に甲高く、それ故、癪に障った。

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 一方、ヒデアキは僕と似た部分があった。自分より強い人間には徹底的に媚びるところだ。

 違うのは、僕は相手が自分より弱いからといって――といっても僕より弱い人間なんてまずいないけど――危害を加えたりはしないけど、ヒデアキは自分より弱いと見ると徹底的に苛め抜く。要するに、相当の卑怯者な訳だ。
 
 髪型は、今時は少々流行らないリーゼントで、小さくて真ん丸な目と、先端が反り返った鼻が、奇妙な不一致によってアクの強い印象を顔立ちに与えている。

 背丈は低いが割と良い体つきをしている。レンヤ達と知り合う前まで、つまりはヤンキーになる前は、水泳に勤しんでいたらしい。
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