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イキ狂う敏腕社長秘書
第10章 【溺れていく本能】





思わず頭を抱えた。
ヤバ………名前呼びそうになってた。
絶対変な空気になるやつじゃん。
マコさんって誰?ってなるし説明するのも面倒くさい。
危ないとこだった。




「美雨の寝起き可愛過ぎ」




勃起したのか、立てない様子。
ごめんね、朝から。
洗面所に逃げた。
生理の設定だからと気を取り直す。




朝食を食べて身支度も済ませた。




「またいらしてくださいね」とチェックアウトの際に女将さんからそう言われ、「今度は本当に新婚旅行になれば良いんですけど」なんて冗談を交わしてる。
隣で真っ赤になるのも手慣れてるでしょ?




初々しいカップル演じるのも私にとっては容易いんだよ?
どこかでマコさんが見てるかもって思ったらゾクゾクしちゃう。
早く帰りたい……なんて思ってる私は最低の痴女だ。




その後は何の問題もなく旅行を楽しんだ。
時折気遣ってくれる一ノ瀬さんに甘えてドライブも満喫した。




「はぁ〜明日からまた仕事、帰りたくないよ美雨……」




マンションまで送ってくれた車内で抱きしめ合う。




「楽しかったね、また行こうね」




自然に唇も重なる。
マンション前だから…とすぐに離れるけど。
握られた手はなかなか離れない。
指を絡め合って余韻に浸る。




「俺、本当に美雨と結婚したいって思ってる」




「え……?」




「また改めて言う日を設けるけど、同じ家に帰りたいし離れたくないんだ」




「嬉しいけど……もう幸せ過ぎてキャパオーバーなんだけど」




頭の中パンクしてるフリして熱い車内、手で仰ぐ。




「本気だから……そのつもりで居て?」




「本当に私で良いの?仕事人間だけど」




「美雨じゃないとダメみたい、俺」




「仕事……辞めないよ?」




「勿論、美雨の好きにして良いよ、その代わり俺を選んで」




「………考えとく」




「うわ、そこはハイ…じゃないのかよ!アハハ…!」




外に人通りはない。
だから最後はとびきり良い想いして欲しくて大胆になれる。
家に帰るまでドキドキしてて。










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