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夏の終わりに
第20章 安息 ③
テッペー達にされた記憶を消し去りたい。そう願った千里に同情して、その願いを叶えようとしてくれただけ。
だからきっと、最後までするつもりなんてなかった。

四年前もきっと、愛なんてなかった。
再会してからのキスも愛撫も、花火の中で行われた行為も全て、深い理由なんてなかったのだ。

ただそうしたかったから、しただけのこと。

それなのに、勘違いしてしまった。


惨めで、ナイフで心臓を貫かれたような苦痛に心が悲鳴をあげている。

「……っ、」

子供のように泣きじゃくりそうになって、千里は嗚咽を殺す。

「服、取ってくるから待っ……」

バスタオルを持って戻ってきた浩人が言葉を詰まらせる。
千里は隠すように顔をそむけて堪えようとしたけれど、涙は止まりそうになかった。

「待ってる、から」

そう呟いた声は酷く震えていて、言葉になっていなかった。
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