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夏の終わりに
第20章 安息 ③
腕の中で千里が強張る。
その意味を確かめるのが恐ろしくて、浩人は強く瞼を閉じた。


テッペー達に襲われた恐怖につけこんで、千里が動揺しているのを良いことに卑劣な行為に及んだ。
それが、どれだけ傷つけるのか分かっていたのに。

「……ごめん」

何回謝っても足りない。

今度こそ、千里は去っていってしまうだろう。
二度と会えなくなる。もう、姿を見ることさえ許されない。

想像して、ぞくりと体が震えた。

「ちぃがいなくなったら、俺は生きていけない」

同じ嫌われるのなら、最後までやってしまえば良かった。

……今からでも遅くはないだろうか。

貫いて縛りつけてしまえば、千里は逃げられない。そんな醜い考えが思考を占める。

抱きしめる。その腕に力がこもっていく。
千里が苦しげに喘いでも止められなかった。

ごめん、ちぃ。
俺は、とことん卑怯だ。
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